2014.05.10
いつもありがとうございます。まさひろです。
簪(かんざし)・櫛・笄(こうがい)について調べてみました。
今回は、ちょっと変わった内容です。
実は神社挙式研究会というのに入っていまして。
そこで「簪について調べてみてもらえませんか」と言われて色々簪や日本髪について文献を調べてみました。
結婚式に関する簪についての文献は、調べた中で見当たらず、書いては修正、また書いては修正の繰り返し(文章書くのが苦手ですので…汗)
約2ヶ月近くかかってやっとまとまったので、この場でも発表いたします。
簪(かんざし)・櫛・笄(こうがい)
簪とは、女性が髪を結うときに使う日本の伝統的な装身具(※1)である。
日本古代では、一本の細長い棒の先に、呪力が宿るものと信じられていたらしい。神に捧げる玉串、神を招くときにたてる斎(いみ)串(ぐし)も、この思想のあわられであろうとされる。髪に一本の細棒を挿すことによって悪魔を払うことできるのが髪串であり、簪の原形である。
現在、婚礼等で見られる、華やかな髪飾りの簪・櫛・笄(こうがい)の起源は江戸の中期頃からと云われる。江戸時代の結髪は前髪・鬢(びん)・髱(たぼ)からできる複雑な構造の髪型であり、それぞれに統一された美しさをもつ独特の髪形(※2)である。この統一美の一役をかっているのが簪・櫛・笄といわれる髪飾りである。髪形というものは、立体的な美しさが必要であることは今も昔も変わりはないが、特に鬢・髱のある日本髪にの場合には形に制約があり、一つの枠にはまった髪形であるから、その人の個性を活かすには自由で変化のある飾りが大きな働きをする。その起源はともに実用から発したものであるが、江戸時代の櫛・笄・簪は、女性のもつ趣味性がもっとも端的に現しているものであり、これら髪飾りを鑑賞する上で魅力でもある。髪形と簪には密接な関係があることが分かる。
櫛は江戸初期の時代の風俗画や肉筆浮世絵をみると、髪形も単純であったが髪飾りは見当たらず、髪を縛るのに使うわずかの元結(もとゆい)(※3)と一枚の普段使用される梳櫛が挿されているくらいであった。江戸中期になると髪形がより技巧的になり、それに合わせて簪等の髪飾りも装飾性が強まっていく。櫛の材質は木だけでなく、象牙・鼈甲や特殊なものではガラスが製あったり、装飾法では漆や蒔絵(まきえ)・螺鈿(らでん)などもあった。但し、種類が豊富になった櫛も初めは、上下のすべての階級の婦女子に用いられていなかった。封建社会を反映して、高価で貴重なものは武家階級の用いることになり、富豪でも町人階級には許されない場合があった。簪も江戸時代に発達し髪飾りのなかでも最も華やかな存在であった。武家の子女階級から町家の娘の用いたものまでその階級に応じて違いがある。
現在、婚礼で使われる簪とは、前櫛(まえぐし)・前挿(まえざ)し・中挿(なかざ)し・後(あと)挿し(ざし)の総称として呼ばれることが多い。実際は簪は簪と櫛と笄の三つに分類される。簪と笄(こうがい)という言葉は混同されて使われやすいが、笄とは、髪を巻きつける棒のみを指す。昔、髪が長いと行動しづらいので、巻きつけ固定させる為に使用されたのがはじまりとされる。その使い方から派生して髷作り、江戸後期に笄の両端に簪をつける様になる。その後、江戸末期には笄本来の実用から離れ、あとから差し込むようになり、形式的になって現在の中挿しの形になった。江戸時代の簪を指す場合と意味は異なる。簪を挿す本数は各地方によりは異なる場合もある。
(※1)装身具:外敵から身を守る目的で、魔力があるものとされる物を常時身につけたのが始まり。装身目的でなく呪術的な意味合いを持っていた。それが支配階級が出現すると、身分の高さを他者に示す目的で身に付けはじめる。さらに社会が裕福になると一般階級の人間も身につけるようになり、やがては本来の目的でなく純粋に美しさを目的としたものに変化したとされる。
(※2)髪形:髪形と髪型。二つの言葉の使い方があるが、今回は髪形で統一表記をする。それは⑴唯一、岩波国語辞典では「かみがた」に①と②があり、①「髪型」髪の結い方。髪のスタイル。②「髪形」髪を結った様子。髪つき。例:「きりりとした髪形」と、漢字によって意味が違うことを示していた。⑵新聞用語集では「髪形」の方を使用されている。⑵に使い方に重きをおいて髪形で統一している。
(※3)元結:髪を束ねるのに使用され、初めて文献に出てきたのが万葉集から。それが「糸」であったか「紙」であったかは分からない。和紙を紙捻(こより)状にして(長細い紙を切ってよったもの)に糊を引き乾かして固めたもの。現在は水引として祝儀などの封筒の飾りにも使用されている。「もとい」とも呼ばれる。
参考文献:
・岡崎智予コレクション 櫛 かんざし 発行所:紫紅社
・山田雅道の「日本髪」 発行所:新美容出版株式会社
上記を参考文献に加筆・編集をしたものである。
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かつらしげもり 重盛真広